ロード・クエスチョン〜登山と自転車と温泉と〜

旧「ロードバイク辛みのデスロード」

元オリンピック代表選手のヒルクライム講習に行ったらすごく良かった話

今年はブルベや富士ヒルクライムにも出たいので、苦手な坂をどうにか克服したい。

あれこれとヒルクライムに関する情報を仕入れていたところ「リンケージサイクリング」というクラブの講習会情報を発見した。

大人はな、金で何とかするもんなんやで。趣味に関しては特にな。

もはや自転車に関しては財布の紐がゆるゆるどころかガバガバになっている私はそのまま申し込みボタンをポチった。

 

当日早朝、輪行して片瀬江ノ島に。

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自転車を預けると、少しネジの締まりが弱かったためそのまま整備もしてくれた。

中は自転車やヘルメットなど装備がずらっと並んでいて、一見すると自転車屋のようだ。 

あの人が講師かなぁ、と細身の男性を見ると、壁にこんなものが。

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 えっ!

 なんと今日の講師は元オリンピック代表の田代恭崇さんだった。日本選手権2連覇。その他経歴も輝かしいものじゃないか。

田代恭崇 - Wikipedia

何も調べずに来ただけだが、超ラッキーすぎる。勢いは大事や。

まずは座学

基本的な交通マナーの説明のあと、ヒルクライムのコツについて解説がはじまる。

 

ペダリングは重力を味方につける

・重心に対して足はまっすぐに(膝の角度は110度)

・サドルのちょっと前に座る

・左右ペダルに均等に体重を乗せる

・重力を落とす足に対して、逆の足は重さをかけないように腿をあげる。

 

 などなど、本当に基本のことだけど、目の前の固定ローラーに乗って実演もしてくれると、とてもわかりやすい。

 

登りはペース配分が大事ということで、心拍をもとに説明をしてくれた。

 

・高強度(最大心拍90%以上):もって3分

・中強度(最大心拍80〜90%):1時間もつ

・低強度(最大心拍60〜80%):7〜8時間もつ

 

ヒルクライムの大会だと、だいたい20kmくらいで一般人だと90〜120分かかる。

登りきるためにはこの3つのゾーンと斜度のバランスを考えうまく織り交ぜながら走るのだと。

ちなみに、有効な練習方法としては

「中強度の心拍で1時間坂を登る」のが良いが、近くに長い坂がない場合は、中強度の心拍20分x3セットとかでもいいらしい。

さらっと説明してくれて、一見「フムフム」って感じだけど

 

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「(限界値まで練習…)」

 

と密かに思っていた。 

実走でトレーニング

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ダンシング、心拍の説明もしてくれた後で、60kmの実走に。 

メニューは20km先の河川敷でフォームトレーニング。 

まずはペダルの上でバランスをとる練習を。

 

・1::走りながら左右の足を並行にして立つ

・2:左右の足を並行にしたまま重心を前後に移す

・3:片足を落としたまま、重心を逆に方向に移す(巻島のヒルクライムをゆっくりにした形のもの)

 

デスライドで尻の痛みを軽減するために1はかなりやっていたので余裕だった。

2、3は意識してやったことがなかったので少し難しかったが、走りながら田代さんにフォームの指摘をいただき、2、3回でそれっぽくできるように。

2は急ブレーキで前につんのめらない(転倒しない)ためのテクニック。田代さんがお手本で実演してくれたが、自転車をほぼ静止させていても重心の移動だけでバランスがとれてこけることはない。

自分がやると間違いなくこけるな!

のりりん」でおいちゃんがやっていた静止した自転車の上に乗り続けるテクニックはこれのことだったのか。

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田代さんのチャリはもちろんアンカー。

ヒルクライム実走は大磯公園で

斜度5%程度のゆるやかな坂でシッティングとダンシングの実演をしながらフォームを見てもらう。

 

「頭の上で引っ張られるように重心を意識して」

「手の力を抜いて、もっと前かがみに」

 

「引っ張られるように」というのがとにかく走りながらイメージがつきやすい。これまでは座る位置がおかしいのかな?とか太ももの力のかけかたがおかしいのかな?と部分的にしか考えることができなかったが、効率よくペダリングに力をかけるための重心探しがしやすいのだ。

 

それぞれ3セットずつ実走した後で、公園の坂を登りきる。最後に斜度15%程度の坂50mと聞いていたが、50mならなんとか登れるはず…。

 

参加者は自分含めて4人だったが、うちひとりの寡黙な男性は走りかたや装備が見るからに中級者だった。

残り2人は私とあまりかわらない初級者っぽいが、他の2人よりも過去のデスライドのおかげか思いのほか登れてしまっている。

斜度8%くらいの坂にさしかかり、まだシッティングでいけはするが呼吸が苦しくなってきた。私は列の2番目だったが、1番前の人が「先にいってください」というので、抜いて先頭に。

一番後ろにいた男性もすぐに全員抜いて隣に並んだ。

 

男性「余裕そうに走っていますね」

f:id:weststreet:20161211213917g:plain「よ…余裕では…ないです…ハァハァ(余裕なのはあなただよ!)」

 

そういってススーとダンシングで軽やかに登っていった。

講習で「足がいっぱいになる前にダンシングを」と教わっていたが、ダンシングに入るのが1テンポ遅く、最後は我慢だけで登りきる。

まだギアがあるとおもってたら無かった、といういつものパターンだこれ。ギアコントロールが下手すぎんよ!

 

田代さん「お!余裕でしたね!!結構登れるじゃないですか!」

 

余裕じゃないよおおおおお!

 

その後は、イートインのあるコンビニで軽く昼食をとって、スタート地点のリンケージサイクリングのクラブまで走って戻る。

食事中、男性から「心拍が上がりすぎてしまうのは、余計な筋肉を使っていて筋肉の酸素消費が大きくなりすぎているから」とアドバイスをもらった。

というかあなたはなぜこの講習にいるんだ…!講習受けるほどのレベルではないのでは…!と思っていたが「プロにフォームを見てもらいたかった」ということだった。

 

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帰りは湘南の海岸で記念撮影など。

座学も実走もとてもよかったが、集団走行が初めてだったのも新鮮だった。一人で走るよりもトラックが避けてくれるのはありがたい…。

 

この日教わったのはあくまでも「コツ」であって、練習しないとはやり登れるようにはならない。

模索しながら走りかたを探すのももちろん楽しいが、私のように走れる時間があまりとれず、早く上達したいならこういう講習をうけるのはすごくいいと思う。

自転車は個人のスポーツだし、私はサイクリング仲間がK氏しかいないので客観的に自分の走りを見てもらうきっかけというのはほとんどない。

もうちょっと上達して、課題や壁を突破したくなったらまた講習に参加したいな。

 

リンケージサイクリングHP:LINKAGE CYCLING